歌舞伎町クラブハイツ・シャンデリア・イーグル

官能。という言葉を実生活で声に出したことなど一度も無いのですが
今晩のコンサートを思い返すに、まさしくそれは官能なのでした。


菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールのコンサートで
コマ劇場と隣接するビルの中のグランドキャバレー、歌舞伎町クラブハイツへ。
想像通り、いや想像以上の空間の濃密さと
糖度高めの演奏にやられまくる。(音響はちょっと残念ではあるのですが…)
店内中央の天井には巨大なシャンデリアがあって
DCPRG=ファンクのアイコンがミラーボールなのだとしたら
ペペ=ラテンジャズオーケストラのそれはシャンデリアなのだろうとか
菊地さんのテナーサックスに反射する光を眺めながら想う。


昭和の遺産であるこの日本最大級のキャバレーも
再開発のため年内いっぱいで閉店してしまう。
とすると、あのシャンデリアの行方はどうなるのだろうか。



折角なのでクラブハイツのトイレにも入ってみる。
水商売飲食店のある側面はトイレに最も顕われているのだ。というのは
日曜午後のホストクラブドキュメンタリーから学んだ。
まあ、そんなにすごいトイレでは無いのだけれど
「殿方用」という表記がグッとくる。

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昨日は渚ようこのコマ劇リサイタル企画も行われていたし
僕と妻の結婚式で歌ってくれたソワレさん
(敬愛するシャンソン歌手。かつ妻の河合奈保子振り付けカラオケの先生)も
出演していたのでそちらのイベントも行きたかったのだけれど叶わず。


コマ劇の壁にも年末で閉鎖する旨の垂れ幕が出ていて
そこには「何かが消失しようとしている時」にしか
発せられない輝きみたいなものがあって
それに引き寄せられるという現象はやっぱり物哀しい。


コンサートが終わり一人でぷらっと
アルタ裏の「イーグル」という
以前から気になっていたクラシックなバーへ。
新宿の昭和を巡るツアーみたいだ。
ここも噂に違わず素晴らしい内装。またしてもシャンデリア。
これで「らんぶる」の地下(もちろんここもシャンデリアだ)で
コーヒーでも飲めば完璧。なのだが生憎の雨なので
サントリーローヤルの水割だけで帰路へつく甘く苦い日曜の夜。