ビッグイシュー・ストリート・さだまさし似のおじさん

仕事場へ向かう途中、初めてビッグイシューを買おうと思い
売り子のおじさん(さだまさし似)に「1部ください」と話しかけたのだが
財布を見ると小銭が全然ない。
「あーゴメンなさいお釣りありますか?」
「1000円だったらお釣り出ますよ」というおじさんの言葉に安心して
札ポケットを見たらゲッ!1万円札しか入っていない。
「あのう1万円でお釣りなんて…」と言いかけて止める。
そんな金額を持っていたらビッグイシューを売る必要がないじゃないか。
「す、すみませんお金崩してからすぐ戻ってきます」と
なんか感じ悪い人みたいだよなあ、と焦りつつ近くの郵便局へ行き
切手を買って小銭を調達して戻る。
「どーもすみません」「わざわざありがとうございます」と
お互い恐縮しあいながら購入。


http://www.bigissue.jp/
記事の充実度も、コラムの幅も
巷に溢れるフリーペーパーより断然面白い。
(最近の、フリーペーパー文化の成熟・増加に伴う、
巧妙な/でもあからさまな/でも隠している体で
/でも分かる人にはわかるよねー/ってことも自覚してますよー/的な
タイアップの手法はもううんざりだ。
素直に「広告です」って勝負すればいいのに。ああいうのはもう
ゼッタイ逆効果だと思うんだけどそれはまた別の機会に。)


ウェブ上でもいくつか読めるのだけれど
「from the street 今月の人(販売者)」という連載がよかった。
http://www.bigissue.jp/vendor/index.html
「ホームレス」という括りで
この人たちを見てしまうことは簡単なのだけれど、
一人一人にフォーカスしていけば
もちろん千差万別の道程や状況があるわけで
(そしてそれが読者である我々よりもハードで濃ゆい、
っていうのは想像に難くない)
その辺のリアルなドキュメントはこの雑誌のコンテンツとして
一番意義があるのかもしれない(それもどうかとは思うけど)。
フロム・ザ・リアル・ストリート。
あと、記事の向いている先が読者だけではなく
「ホームレス」や「ホームレス予備軍」の人たちにも向けられている感じはする。
啓蒙とまでは言わないけれど、
ここの記事によって何かを止めたり、始めたりすることはあるのかもしれない。


だからこのビッグイシューの売り子のおじさんたちは
自らが記事のコンテンツになって、情報の受け手になって
それを自分の手で売る。という普通の雑誌ではありえないほどの
濃密な媒体への関わり方をしている。
実は、「ホームレスであること」に依拠する(被)情報量は
けっこうなコンテンツボリュームを持っているのかも。


でも結局「ホームレスである」という状態がどういうことなのか、なんて
僕らはあまりに何も知らないのだ。
少しでも知るためにまた買ってみよう。