木下美紗都・世界・双子

木下美紗都『海 東京 さよなら』を聴く。
http://www.faderbyheadz.com/release/headz87.html


気負いのない感じの音響系。良い。
時折はっとする音階があってすこしだけ揺さぶられる。


この、時折はっとするメロディーだとか、
例えば文章だとか、デザインの要素だとか、
そういうものが実は、ものを創造する上で
すごく重要なものだと思っている。


整理されて、クリアになればなるほど
ほんの少しの匂いみたいなものが重要だ。
世界を単純化することと
そこに付与される何かを見つけることは等価で、
そして「何か」はあとからやってくるのではなくて
純化された世界にあらかじめ存在している。

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昼間の地下鉄でものすごく可愛い双子の女の子を見た。
19、20歳くらいだと思うけど、金髪のおかっぱ風ボブで
小さくて外人みたいに色が白くて
ゴスじゃない方向のフランス古着みたいな格好をしていて
(全て二人共通の描写だ。まるでフランス・ギャルみたいだ)
僕の前の座席に座っていた。
ふたりとも大きな鞄を抱えていたのだが
不意に、右のフランス・ギャルA(便宜的にそう呼ぶことにする)が
左のフランス・ギャルBに耳打ちをすると
クスクス笑って鞄からビニール袋を出した。
フランス・ギャルAがそのビニール袋に手を突っ込むと
中からお菓子が出てきてひとつまみ食べる。
フランス・ギャルBが今度は手を突っ込みひとつまみ食べる。
交互に袋に手を突っ込んでお菓子を食べる。
たまに目を合わせてクスクスする。


ここまで書いて相当気持ち悪いな、俺。と思っていますが大丈夫でしょうか(笑)
とにかくその光景で僕はメロメロしてきてしまい
彼女らがお菓子を食べながら下車するまでこっそり眺めていたのでした。


「双子であること」のイメージの喚起力はすごい。
ギリシャ神話とか村上春樹とか古臭い西洋菓子のパッケージとか。
そういえばキティちゃんも双子らしいですね。
なにやら得体の知れないキュートさとか
神性みたいなものが感じられるけど何故だろう。