気胸で入院 その3

「お?なんだ今日はみどりの日か。献立に書いてあるよ。
って言ってもおかずは何も変わりゃしねえな。
みどりの日っつったら昭和天皇の誕生日だろ。天長節だろ。
刑務所ならちょっといい飯が出るんだよ。」


隣の隣のベッドのおじさんがつぶやく。
おじさんの背中にはビッシリとモンモンが描かれています。


昨日、内科病棟から外科病棟に移りました。
どうやら僕の肺は安静的な処置では完治せず
ここはきっぱりと手術をした方が良いとの判断が下されたのです。


「でえ、この般若がいい顔してるだろー。
こっちのはね、数珠。仏さまが持ってる数珠だよ。
新宿の甲州街道のトコに腕のいい彫師がいてよ、
これはもう芸術作品として見てほしいンだよなァ」
モンモンのおじさんはナースが巡回に来る度に
40年前に入れたという刺青の解説をします。
やばい。面白そう過ぎる。
ものすごく話を聞きたいのですが(いい人そうだし)
こちらがベッドに繋がれっぱなしなのでままならず
ろくに話も出来ないまま
2日後に退院許可が出たモンモンのおじさんは
「出所だ!出所!」と言って嬉しそうにシャバへ出て行きました。


僕の手術は5/1に決まりました。