気胸で入院 その4

何の色もなかった。何の夢もなかった。
背中に硬膜外麻酔を穿たれ、吸入と点滴で全身麻酔に落ちた意識の下は
どんな感じなんだろうかと少し期待していたのだが
そこには何もなかった。
白い霞が晴れる感じも、浮遊した感じもなくて
ただ名前を呼ぶ声で僕は目を開けた。
手術室で意識がなくなった点と現在の点がワープしてくっついたような感覚。
すっぽりと僕が僕である時間が消えて
体の痛みだけが残っていた。
手術は成功したらしかった。
僕はまた目を閉じて、一晩中痛みと体の重さに悶えながら
今度は沢山の夢を見た。