旧友・スキッドロウ・ルーク

ネットで旧友の名前を見つけた。
ソイツとは高校時代一緒にバンドを組んでいて、
二人でゴリゴリのハードロックのツインギターを受け持っていた。
いやあ、当時流行ってたんですよ。ゴリゴリが。
スキッドロウとかモトリー・クルーとかメタリカとかガンズとか。


僕らのバンドは主にスキッドロウをコピーしていて
コソコソと学校にギターを持っていっては
昼休みにバンドのメンバーと音合わせしたり、
学校が終わるとスタジオに行くか
近くのお茶の水楽器街でぶらぶらと店めぐり(何も買わない)をしていた。
ああ懐かしい。そして恥ずかしい。


ヤツは速弾きがやたら上手かった。ソロは全部おまかせ。
でもリズムが全然とれなくてどんどん先走っていくのが難だった。
あと自分の音が大音量で鳴ってないと気が済まない気質で
だんだんボリュームが上がってくるのだけれど
僕はスタジオでこっそりヤツのアンプのボリュームを絞って対抗していた(笑)。
もちろん僕の見てないところでヤツはまたこっそりボリュームを上げる。
イタチごっこ。そんなんで言い合いしたり喧嘩したり。
ずいぶん微笑ましいハードロックである。


ただ、どうしても困ったことが一度だけあった。
高2の秋、そのバンドでの始めてのライブの時に
リハが終わり本番を待つ時間になって彼がやたらと長い時間トイレに入っている。
「どうしたのかな?」と待っているとトイレから出てきた彼の姿を見て仰天、
彼は敬愛して止まないギタリスト、ルーク篁聖飢魔II)のメイクをして
自作のコスチュームまで身に纏っていた。完璧になりきっていた。
僕と他のメンバーはあっけにとられたままステージは開始。
もちろん観客(99%が同級生)も盛り上がる前に一瞬ア然。
というか「アイツ誰だよ」状態。
だってさ、皮ジャン&ジーンズのメンバーの中に
なんかキラキラした衣装の白塗り悪魔メイクのギタリストがいるんですよ。
おかしいでしょ、確実に。アルフィーの中での高見沢より違和感あるでしょ。


結局ヤツとは何度か一緒にライブをやって
3年生になってまた違うバンドをそれぞれ組んだりしたものの
ギターの話をずっとして高校の3年間を過ごした。


僕はその後どんどん軟弱な音楽(フリッパーズに感化される)に走って行き
ハードロックからは離れていった。
ヤツとは高校卒業以来会ってないけど
そのままハードロック道を貫いていったようで
Googleの検索に引っ掛かったサイトでは
ヤツは髪を伸ばし、髭を生やしてもっと激しくメタルなバンドを組んでいた。
インディーズでまだ活動してるのかな。リズム感は良くなったのかな。
プロフィールの「影響を受けたギタリスト」の欄には
やっぱり「ルーク篁」と書いてあった。


まだ活動しているようだったらライブでも見に行こうかなあ。
すごい恐いヒトになっていたらどうしよう。
とにかく御活躍を祈ります。