送別会・東京・朝

以前勤めていた会社の後輩のEちゃんが退職して故郷に戻るので
銀座で開かれた彼女の送別会に参加。


「私は東京で働こうと思ってこの会社に入って、それから7年働いて、
この会社での7年間が私の東京の7年間だったんです」とEちゃんは言った。


たぶん色々な決断があって至った答えなんだろう。


彼女の故郷はそう遠いわけじゃない。山は越えるが海は越えないし
夜中に高速道路を飛ばせば4時間、新幹線に乗れば2時間半で行ける距離だ。
だけど、7年の居場所を後にしてそこを離れていく彼女の決断には
そんな尺度じゃ測れない距離があって
見送る側の僕たちはやっぱり寂しさと遠さを感じてしまう。


故郷から離れて暮らすこととか、
暮らしていたところを後にして故郷に戻ることがどういう感じなのか
東京で生まれ育った僕には実感として掴めない。
ずっと同じところで暮らしていると
そういう結びつきに対しての意識が薄いのかなと思う。


「次からは遊ぶためだけに、気楽に東京に来れる」ともEちゃんは言っていた。
やり残したまま、置き去りにしたままのものも沢山あるんだろうと思う。
でもそれはこれからもずっと続く彼女と東京とのつながりだ。
彼女と知り合えた人たちとのつながりでもある。
それがある限り、僕たちが寂しさと同時に感じる距離より実は近いのかもしれない。


飲んで食べて、喋ってカラオケして外に出たら
いつもの飲み会みたいに朝になっていた。


Eちゃん、新しいところで働いて、気楽に東京に来て
こうしてまたみんなで騒いで同じ朝を迎えよう。
新天地でのご活躍を祈ります。