光量・グラデーション・枕草子

起きたら雪が少しだけ積もっていた。
雪の降った次の日は風景すべてが光量オーバーで小気味いい。


昼間は晴れ間ものぞいたので
3月の東京の雪などすぐに融けてしまうのだが
昨日の夜中から今日の夜までの振れ幅の大きなグラデーションを
ビデオに撮って早送りしたら綺麗だろうなと思った。
天候や自然のグラデーションというのは
人に感銘を与えるんだろうね。

枕草子」の文章は、知る中で最も美しい文章なのではないかと思うのだが
ここでも多くのグラデーションに目が向けられている。


春はあけぼの。やうやう白くなり行く、
山ぎは少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
夏は夜。月のころはさらなり。やみもなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。
秋は夕暮。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、
烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛びいそぐさへあはれなり。
まいて雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。
日入りはてて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。
冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず。
霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、
火などいそぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもて行けば、火桶の火も白き灰がちになりてわろし。



いやあ本当に綺麗な文章だなあ。改めて。
雪融けの垂れる音を聞きつつ本日終了。